球体関節人形の作り方
 16・着色とメイク


 今回は油彩仕上げで行きます。
 油彩仕上げは微妙に慣れが必要なので、
 初めてで早く仕上げたい!って方にはパステルメイクがお薦めです。

 紙パレット(いつも一部分しか使わないのでサイズの小さいもの)、
 化粧用スポンジ、油絵の具各種、ペンチンングオイル、
 筆(油をすくう平筆と絵の具混ぜる筆と眉毛などを描く面相筆)を用意します。
 化粧用スポンジはマツキヨで普通に売っているものです。

 私が使っている絵の具は主にフレッシュ、アイボリホワイト、シェルピンク、
 バーントシェンナなどです。(肉色、淡白色、淡桃色、茶色)
 会社によって同じ色名でも微妙に色が違うので、
 好みの色を別々の会社で買ったりしてます…

 溶き油によっては乾燥後もテカる物があるので注意が必要です。
 速乾性の溶き油はテカる物が多くて危険。

 フレッシュとアイボリホワイトとシェルピンクを適当に出します。

 混ぜます。
 これが基本の赤味の色になります。(以下基本の赤色と言ったらコレです)

 (コーラルレッドという色を買ってそのまま使っても良いです)

 唇など赤味の強いところは、肉色と茶色を混ぜて作ってます。

 ここで肌に使う基本の赤色の解説です。
 左側はローズグレー、右側は上で作ったフレッシュ主体の赤色です。
 左側は青みがかった赤、右側は黄色がかった赤になります。
 赤なのに青とか意味不明ですが、紫色寄りの赤と橙色寄りの赤ということです。
 両者、同じ赤でも仕上がる雰囲気は全く違うものになります。
 透けるような色白のイメージにはローズグレー(例えるなら白雪姫、吸血鬼とか…)、
 元気な肌色or東洋人にはフレッシュ色が適しています。
 また、着せる予定の服が青系ならローズグレー、
 黄色やオレンジなど元気色系ならフレッシュを使うとよく似合います。
 知っていると便利な赤味の使い分けです。
 胡粉塗りの段階からそれを意識していても良いと思います。

 さて化粧用スポンジですが私はこんな使い方をしています。
 写真は何回か使った後のもの…

 一番左の角は基本の赤色を直接つけて使うところです。
 右下の角はペンチングオイルを筆でつけて湿らせて使います。
 右の角は絵の具とオイルが半々についています。
 三つの角を使い分けて微妙なグラデーションを作ります。

 まず、オイルをつけた角で赤みを出したい所にオイルを塗ります。

 半々の部分でオイルを軽く拭き取ります。

 絵の具がついている角で色を擦り込みます。

 半々の角で色味を調整します。

 全部こんな感じで色をつけていきます。

 陰になる部分、凹んでいる部分に基本の赤色を擦り込んでいきます。

 関節の接合部も赤みを入れるとそれらしくなるかと思います。

 顔は、まず目の周りのシャドウを入れます。

 次に眉を描きます。
 色は髪の毛に合わせると良いです。

 睫毛も描きます。
 逆さまにして描いた方が描きやすいかも。
 あと目の縁を薄ピンク色に塗ると生々しくなるかと思います。

 眉毛の位置ですが、
 小鼻の端から直線を伸ばしたところから眉が始まります。
 眉の端は小鼻と目尻を結んだ斜線の中に入るとバランスが良いです。
 
 というのが女性のメイクの常識(たぶん)なのですが、
 人形は人形なので参考程度で良いと思います。

 頬も基本の赤色を塗ります。
 スポンジでグラデーションつけた要領で…
 下の方まで赤くすると可愛い幼児ほっぺに。
 人形なので結構赤くしちゃっても可愛いと思います。

 唇も塗ります。
 最初は上唇を薄くしがちなのですが、
 富士山ぽく描いてあげると可愛いと思います。
 富士山が急斜面であるほどお人形らしいポテッとした唇になると思います。
 富士山麓をふっくらさせると色気のある唇に。

 目を入れてみてイメージを確かめます。

 睫毛を貼る場合、眼球を入れる前に貼った方がやりやすいです。
 市販の睫毛でも良いのですが、筆から睫毛を作る方法もあります。
 柔らかく、自然な仕上がりになるのでお薦め。
 最後の完成写真には睫毛が生えています。
 作り方はDollybird Vol.9の荒木元太郎氏のメイク法を参考にしています。

 髪の毛を通販などで買う場合、必ず来てから眉は描きましょう…
 予想で描くと色が違っていたりします。
 (ということを既に二回くらいやっている)

 ☆眉の色についての重要ポイント☆
 眉毛は、髪の毛を載せた時に顔の脇や首の横にある、
 「陰になっている髪」の色に合わせます。
 明るい所で見える髪の色に合わせると薄い感じになってしまいます。
 陰の色に合わせておけば間違いないので迷った時は試してみて下さい♪
 
 今回は後でもう少し薄い色の髪になるのでちょっと明るめの眉でしたね。
 特殊な眉の色としては、白髪には黒とかですかね…
 気分的には薄い灰色にしたくなりますが薄い黒の方が映えます。
 眉の色を作る時に白を混ぜたくなることがありますが、
 できれば白を混ぜない方が色が濁らないので良い感じです。
 眉は顔の主要パーツです!気合いを入れて描きたいですね。

 他の関節の接合部も基本の赤色で赤く塗ります。

 手足の爪も好きな色に塗ります。

 油絵の具は乾くのに大体一週間くらいかかります。
 吊して干しておきましょう。
 風通しの良い所が一番早く乾くようです。ホコリに注意!

 乾いたら、全ての関節受け部分に布を貼ります。
 布は使い古した肌着などで結構です。
 布を貼ることで関節の動きがスムーズになり、人形が傷みにくくなります。

 まず受けの大きさに布を切って…

 二つに折って真ん中を切り抜き、ボンドで貼り付けます。

 布が表から見えないように気を付けます。

 終わったら、仮組みの時と同じように組み立てて完成です。

 油絵の具で彩色した場合、金属が触れると黒く跡が残ることがあります。
 銀の指輪、時計などは人形に近づけないようにしましょう。

 この人形はカツラドールなのでカツラを被せて完成です!

 お人形作りは何回やっても飽きなくて、
 それは創意工夫する過程にこそ楽しみがあるからだと思います。

 世界に一つだけのお人形を是非作ってみて下さいね♪

 おまけ
 グラスアイver.


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