球体関節人形の作り方
 13・仮繋ぎと自立のための調整


 人形を繋ぐためのゴムを用意します。
 今回は60センチ程度の人形なので、4本丸のゴムを用意します。
 何本丸というのは中に細いゴムが何本束ねてあるかを表しています。
 このゴムはユザワヤのゴムコーナーに普通に売っています。

 ゴムは二つ折りにした状態で、手首から肩を通って反対側の手首まで、
 あと足首から頭を通って反対側の足首まで通ることになります。
 ぴったりの長さにすると絶対に余るので、写真のように少し短めに切っておきます。

 ゴムを通すのに、針金の先を曲げたもの(30センチくらい)と、
 テグスを輪にしたものを用意します。
 私はテグスを二つ折りにしてセロハンテープでとめて作りました。

 頭を引っかけるのに使うSカンも作ります。

 ゴムの通し方はこのようになります。
 関節球の中に通した針金の、前を通るか
 後ろを通るかを気を付けて見て下さい。

 まず右足のSカンに足用に切ったゴムを通します。
 ゴムを二つ折りにした状態でSカンが真ん中にくるようにします。
 右足からでも左足からでも同じなのでやりやすい方から通します。

 針金の先を曲げたものを膝の穴から通します。
 この時、膝関節の針金の前側を通します。

 足のゴムを引っかけます。

 そのまま引っ張って通します。

 大腿の穴にも針金の先を曲げたものを通します。
 この時は股関節球に通した針金の後ろ側を通します。

 同じようにゴムを引っかけて通します。

 首の穴から針金の先を曲げたものを通します。
 この時は首関節球の針金の後ろ側を通します。

 ゴムを引っ張り上げます。

 ある程度の強さでゴムを引っ張っておきます。
 引っ張りが弱すぎると関節がグタグタになります。
 でも強すぎても関節が傷んでしまいます。

 大腿の穴から針金の先を曲げたものを通して首の穴から出します。
 この時も首関節球の針金の後ろを通ります。

 ゴムを引っ張って通します。

 首はとりあえず棒(写真は割り箸を切ったもの)で引っかけておきます。

 大腿と膝下のパーツは来た時と同じようにゴムを通して、最後の足首です。
 ある程度の強さでゴムを引っ張っておきます。

 足のSカンを引っかけて、ゴムを結びます。

 結び目は足の中に隠します。

 ここまでで、この状態になります。

 ここで自立の調整をすることもあります。
 自立のための調整については一番下で説明しています。

 次に手を通します。

 足と同じようにゴムを通していきます。
 膝関節球の針金の後ろ側を通ります。

 肩関節の穴からテグスを輪にしたものを入れます。
 肩関節球に通した針金の上を通るようにします。

 針金の先を曲げたもので中から輪を引っかけ、下まで引っぱり出します。

 テグスの輪にゴムを引っかけます。

 テグスを引っ張ってゴムを通します。

 反対側の肩穴まで通します。
 胴体の中に足のゴムがありますが、その前を通っても後ろを通っても
 あまり違いはありません。迷ったら、後ろに通しておきます。

 反対側の肩は、肘の方から輪にしたテグスを入れます。

 肩関節の穴から輪を引っぱり出します。

 テグスにゴムを通し、肘までゴムを引っ張ってきます。

 来た時と同じように肘にもゴムを通し、手首で結びます。

 首の棒を取り(この時ゴムを離さないよう注意)、頭用のSカンを引っかけます。

 Sカンを頭の中の針金の輪の部分に引っかけます。
 届かない時はゴムを引っ張って長さを確保し、
 Sカンをぶらさげてひっかけるようにします。

 頭をくっつけます。

 組み立てました。製図通りに作っているので、予定通りの大きさになるはずです。
 スーパードルフィーっぽい体型で作ったので手足が小さめです。

 写真の人形は手首と腕が繋がっていますがあまり気にしないで下さい。

 背面はこんな感じになってます。

 バランスの良い人形ですと、スタンドを使わなくても自立させることができます。

 自立は決して難しいことではありません。
 ちゃんと自立しているか確かめるためには、
 人形と向かい合って座って人形の胴体を手で持ちます。
 それから人形のつま先を足で踏んで床に固定します。
 お行儀悪いですがその方がやりやすいです。
 つま先を固定したまま、胴体の角度や膝関節の据わりを調整しますと、
 自立するバランスがはっきりと分かります。
 ちゃんと自立している人形は、少しくらい揺らしても倒れないで、
 自分でバランスのとれた位置に戻ります。
 自立していても危なっかしい時は、揺らすとすぐに倒れてしまいます。

 自立しない時は、膝関節の据わりが悪いことが第一に考えられます。
 製図にぴったり合わせて膝関節を作っていれば絶対に自立するので、確かめてみて下さい。
 あとは股関節の位置も製図に合っていないと自立しません。
 (自立しても変な姿勢になったりする)

 また、自立した時にO脚になってしまうのもあまり良くないです。
 設計図通りに膝が閉じるよう調整しましょう。

 膝関節の切り口の、左右の高さを調整すればO脚は解消できます。
 一概には言えないですが膝の内側の切り口を少し長くすると直ることが多いです。
 (←図の赤線部分)
 それだけでは直りにくい場合、外側の膝関節切り口を短くします。

 O脚は、大腿を地面に対して垂直に立てて作ろうとするため
 起きる現象だと思います。
 水色の線のように斜めになっていることを意識すると良いかと思います。
 (地面に対して垂直になるのは膝から下です)

 座らせたり膝を曲げたり、動作を確認しておきます。

 カツラなど被せてみてイメージを確認します。

 この段階で写真を撮ると粗が分かり、修正すべき所が見えてきます。
 完成したつもりで色々撮ってみましょう。


自立のための調整

 自立にはあまりこだわらない人もいると思います。
 でも自立すると云うことは足の長さが左右できちんと合っていること、
 股関節の受けの厚さが左右で同じこと(つまり股関節球の出方が左右で同じであること)、
 そういった完成度の高さの指標でもあります。
 せっかく作るのだから自立させておきましょう。

 ここから説明する調整は全て仮組み前に行ったことなので、
 上の組み立て時の写真は調整が済んだあとのものになります。

 足と胴体だけ組み立てた状態で立たせてみます。
 体全体が、向かって右側に傾いているのが分かるでしょうか。
 製図に合わせて作ってきましたが、所詮目分量なのでこのように微妙なズレが生じてきます。

 膝を見てみると、向かって右の膝の高さが足りないようです。

 左右で高さが違うのが分かるでしょうか…

 向かって右側の足を少し浮かせてみると、膝の高さが合うようです。
 この場合、足首の受けをもう少し厚くして、膝までの高さを上げます。

 Sカンが出ているので、ラップに小さな穴をあけてSカンを通します。

 足の関節を作った時と同じように受けに粘土を乗せ、足を押し付けます。
 受けを厚くするのが目的なので、あまり押し付け過ぎないようにします。

 受けを厚くした分、足首の外側が短くなっています。
 粘土を盛って長くしておきます。

 調整をしたところ、膝の高さは左右同じになりました。

 これで大丈夫かなと思うのですが、ここで更に細かくチェックします。
 写真に撮ると分かりやすいですが、実際目の前にするとこの程度では気付かないことが多いです。

 重りをつけた紐を上から垂らし、体が真っ直ぐに立っているか確認します。
 胴体だけが向かって右側に傾いているのが分かるでしょうか。
 この場合、向かって右側の大腿の受けを厚くして調整します。

 調整が終わり、きちんと立つようになりました。

 ちなみにこの紐と重りは後ろに写り込んでいるカーテンを留めていたものです(- -;)

 調整前と調整後でこんなに変わりました。

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